優越感を味わう一点もの。

フランスのアンティーク更紗を使った一点ものコート。
この更紗、19世紀頃のものだそうです。ジャポニズムやシノワズリが流行していた頃にインドネシアなど東南アジアからフランスへと更紗がたくさん輸出されたそうです。
その後、フランス国内でも独自に更紗が作られて、大流行したという歴史が残っています。
更紗と言えど、どこか西洋風の柄が美しい２柄を手に入れましたので、ここはもう柄を生かしたデザインにしなければ！ということで、柄の美しさが際立つガウンコートに仕立ててみました。

欧米の方が時折、日本の古着の着物をガウンのようにさらっと着こなしている姿が日本人の感覚とは違っていて、面白さと優雅さを常々感じていましたので、イメージはそんな感じになればいいなと思い、そして冬も近づいてきましたので、機能性もしっかりと兼ね備えたものをということで、中綿をキルティングして温かく仕上げました。
綿入れ半纏のような趣です。

大胆コート。どう着こなす！？

サイズ感はM~Lサイズの方に合うようなフリーサイズでお作りしました。袖は七分袖。袖の短さを活かしてインナーとの色合わせを楽しめます。中綿も入っているので、ボリューム感がしっかりしています。
コートを活かすためにも、Iラインのシンプルコーデと合わせることをおすすめします。　デニムと薄手のニットや、白シャツとコットンパンツ。コンパクトシルエットのブラックドレスと合わせてもgood！
足元は素敵なヒールで華奢な印象に仕上げれば完璧な装いに仕上がります。

見た目だけじゃない。こだわりも受け取ってください。

見た目のインパクトが大ですが、パターンにも力を入れています。
着物スリーブにバイヤスカットしたマチパーツをつけて腕の上げ下げを楽にしました。
そして、中綿入りのボリュームコートですが、重さはたったの300~500gほどでとても軽く長時間着ていても疲れにくいのが特筆すべき点です。

ディテールが自慢です

古い生地を使う際、そのまま古い生地のみでリメイクするとどうにも野暮ったいものに仕上がるというのが私の持論です。洗練されたラグジュアリーなコートに仕上げるべく、まず、袖の一部に別珍を切り替えて使い、アクセントカラーを入れました。別珍と同色のパイピングブレードで前立てと襟ぐりをぐるりとトリミング。仕上げは裏地。表地とのコントラストを出す色合わせで決めれば、一気に華やかモード。

パイピングテープも別珍。

店主からもう一声

ジャポニズム文化が流行したのはベルエポックと呼ばれる19世紀末頃です。そして今も尚、欧米では日本の文化を愛して止まない人達がたくさんいます。異国情緒やエキゾチックなどを当時のヨーロッパの人達は日本に対して感じていたのでしょうか。実際の日本は江戸時代から今に至るまでこんな言葉で表現するのはどうでしょう？「こざっぱりとしている。」まさにこれが本質ではないでしょうか。

ファッションを生業にしている者としては、欧米人が感じる日本と、日本人が思う日本のイメージの差にむしろ興味を惹かれて、表現方法の一つとして取り入れたいといつも思っています。そんな思いの欠片をこのコートに縫い付けました。
古い生地ですので、傷みもありますし汚れも少しばかりあります。
それでも、美しい！と感じてくださる方に届けばいいなと願っています。