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2020/11/26 17:55

最近、新作が配信されると必ずチェックする動画コンテンツがある。
https://www.pen-online.jp/feature/culture/pca2019_mitsuishi/1

俳優の光石研氏が、東京の街に繰り出し、近頃ハマっているというデッドストックの服を探す PenOnlineオリジナルドラマ『東京古着日和』。
コアなアイテムからスタンダードなものまで、古着の沼に落ちてゆく心踊る物欲ストーリーです。

何故にこの動画に心踊るのか?

私がファッションの学校に通っていた1990年代後半は、アムラーブームや小室ファミリー全盛期。コギャルに渋谷系ファッションが大流行。
それと並行して裏原ブームも盛んでした。新進気鋭のデザイナー達がストリートとモードを掛け合わせて日本独自のファッションムーブメントを起こしていました。同級生達もバイト代をつぎ込んでは、我先にとDCブランドの新作を手に入れたり、ストリートのファッションに心酔してみたり。それはそれは、“ファッション”が熱かった時代です。バブルはとうに崩壊して経済は斜陽となっていたけれど、作り手達の熱は最高潮となっていたし、その熱から作り出されたモノ達はまるで生き物のようにギラギラしていてどれもこれも物を言うような服達ばかりでした。

素材も素晴らしかった。上質な素材が贅沢に使われて、高い技術によって一着の服が出来上がっていました。
ファッションデザイナーになるという夢だけで過ごしていた私には、見る物全てに憧れと嫉妬心が入り交じった、言葉では言い表せないような苦い気持ちを抱いた覚えがあります。

それから数年後、私は夢の通りデザイナーになりました。とは言っても紆余曲折、そのころに描いたようなデザイナーにはなかなか今もなれたとは言えません。あの頃とは違って、“高いもの”を売ることが難しくなった時代です。服を作る上で、コスト削減は重要視すべき点です。
消費者がなるべく気軽に買えて、それでも“良いもの”を身につけて欲しい、オシャレしてもらいたい。そんな服作りをしようといつも念頭に置いて企画を進めています。
コロナによってまた時代は大きく変動しています。この先、流通/小売業がどんな道を歩むのか想像するのは難しい状況です。
それでも新しい時代を迎えることは間違いないことのように感じます。その時何を提供できるのか。。。

『東京古着日和』を観ると、90年代後半のあの頃、喉の奥に感じた苦いような甘いような感情が少しだけ蘇ってきて懐かしい気持ちになるのと同時に、良いものを作って提供することの意義はまだあるぞ!というちょっとだけ熱い思いが心の奥でフツフツと燃え始めているのを感じて、青春の断片をそこに投影して見入ってしまうのです。
ファッションは進化するものです。そして巡るものです。自分が作ったものが巡り巡ってスタンダードとなることをこれからの夢にするとしましょうか。